会社は「戦略」を立案し、その戦略を実行していくために、「マネジメント」を駆使していきます。「戦略」や「マネジメント」という言葉は日常茶飯事、社内で飛び交っていますが、これらの言葉の意味、定義まで明確に落とし込んでいる人はそれほど多くありません。「戦略」と「マネジメント」は会社経営の「両輪」に当たりますので、これらの意味をきちんと理解しておいて頂きたいと思います。
「戦略」とは、「市場における組織活動の中長期的な設計図」です。つまり、会社が自社の市場(マーケット)で、中長期(3~10年程度)に渡って戦い、勝つために、具体的に何をやっていくのかを示す道標です。ですから私は、戦略のことを「What」と呼んでいます。戦略で大切なのは、市場(=外部環境)と会社の経営資源(=内部環境)の両方を的確に把握し、会社の経営資源を上手く活用しながら、外部環境にしなやかに対応していくことです。
「マネジメント」とは戦略(What)をどのように実行していくかという意味で、「How」と呼んでいます。マネジメントには、経営資源を適切に配分する(=資源配分)という「本来のマネジメント」と、現場で管理監督するという「現場マネジメント」の2つに分けて考えると分かりやすいです。会社のゴールは、自社の「成果を出す」ことですから、このゴールから逆算して、「戦略(What)」を決めて、「マネジメント(How)」で実行していくのです。
ところで、経営幹部が現場において、何をマネジメントしたらよいのでしょうか。今まで経営幹部向けセミナーでこの質問をしても、きちんと答えられる人は非常に少なかったです。つまり、現場の長が、何をマネジメントするのかが整理できておらず、マネジメントが行き当たりばったりになっているのではないかという気がします。これでは現場の成果は出ませんよね。ですから、以下に記す視点を明確に持って、計画的、効率的に現場をマネジメントして頂きたいと思います。
【4つの現場マネジメント】
① 業務マネジメント:PDCA・業務改善・タイムマネジメントなど
業務マネジメントで最も大切なのは業務を期限までに終えること、つまり「PDCA」に基づいて進捗管理を行い、適切な(予定通りの)品質やコストで仕事を仕上げることです。また、常に業務を「効率化」し、最短距離でゴールたどりつくために、「業務改善」や「タイムマネジメント(時間管理)」を行っていく必要があります。
② 人材マネジメント:人材育成・コミュニケーション・メンタルヘルス・ハラスメント・労務管理など
人材マネジメントとは、人材に関するコントロールを行うことですが、特に、「人材育成」と「コミュニケーション」が肝となります。昨今は、メンタル不調を起こす人が増え、セクハラやパワハラなどの「ハラスメント」が大きく取り上げられるようになってきていますので、これらは重要なマネジメント項目となります。また、就業時間管理も以前よりは厳しくなってきていますので、時間外労働の管理も管理者の務めとなります。
③ リスクマネジメント:リスクを洗い出し、リスクを最小化するための対策を行うなど
リスクマネジメントは文字通り、社内や組織内のリスクを起こさないか、最小限に抑えるためのマネジメントです。主なリスクとして、自然災害に始まり、情報漏洩、コンプライアンス、設備、火災、為替変動、人(ハラスメントやメンタル不調)、財務などが挙げられます。リスクについては、リスクを「洗い出し」、それを「評価」し、リスクを起こさないための「対策」を施し、リスクが発生した時に適切に「対応」することが求められます。最低限、1年に1回ないし2回、リスクの洗い出しを行うことをお勧めいたします。
④ 金のマネジメント:売上・コスト・利益、投資など
会社にとってお金は最も重要な経営資源と言えます。なぜならば、お金が回らなくなった途端、会社は倒産してしまうからです。稲盛和夫さんは、「売上を最大に、コストを最小に」とおしゃっていましたが、「売上」と「コスト」をどれだけマネジメントできるかは、会社の成否に大きく関わります。営業であれば売上や粗利益、製造部門であれば製造原価、管理部門であれば販管費が、主に求められるお金のマネジメントです。また、投資したお金からどれだけ利益を生み出すかというROIC(Return On Invested Capital)も、お金のマネジメントでは大切になりますので、店舗や工場などの採算管理は細かく行う必要があります。
(執筆:現場経営の達人)