【第5回】「なぜなぜ思考」と「5W1H思考」

2026-08-04 15:47:35 経営コラム

第1回目で、「社会人偏差値=頭×心」という説明をしました。つまり、できる社会人になるためには、頭と心の両面を強化しなければならないということですね。そこで今回は、頭の視点で、思考力を養うためにどうしたらよいかを、私の経験も踏まえながら説明したいと思います。

 

様々な思考のフレームワークの中で、私が最も大切にしている思考方法が2つあります。それは、

1. なぜなぜ思考

2. 5W1H思考

の2つです。

 

これら2つは何ら難しい思考ではないのですが、自分の思考回路に植え付けるためには、継続して訓練して1~2年かかると思います。私自身、社会人になってから始めて、2年もかかってようやく、人並みの思考力が身についたと実感したものでした。皆さんも是非、今から説明する思考の訓練を行って欲しいと思います。

 

1. なぜなぜ思考

なぜなぜ思考は単純に、ある事や、事象などに対して、「なぜ?」と疑問を持つことです。あまりにも単純過ぎて、「これは思考とは言わないのではないか」という人もいらっしゃるかもしれませんね。でも私は、「なぜ?」という疑問を発することが、社会人の思考力を鍛えるのに最も重要だと考えています。私が社会人を35年やってきて、この「なぜなぜ思考」が思考回路に備わっている人は、10人中2~3人しかいないのが、偽らざる実感です。事の表面しかとらえていない人がいかに多いかということもできますね。天下のトヨタ自動車では、「なぜなぜ5回繰り返せ」と言われているようですが、私は部下に、「お願いだから、なぜ1回でいいから疑問を持って欲しい」とお願いしたことさえあるくらいです。

 

「なぜなぜ思考」がなぜ重要か。それは、「なぜ?」が、事の「理由」、「原因」、「背景」を導くための問いだからです。社会人の仕事はすべて、「問題解決」です。我々は日々、何らかの「問題解決」に取り組んでいるのです。言い換えれば、我々社会人は、社内、チーム内の「問題解決屋」であるということです。問題解決をひと言で言えば、「問題の真因(真の原因)の除去」です。つまり、問題を解決するためには、「なぜなぜ思考」によって問題の真因を突き止めることが必須であるのです。

 

例えば、「自動車を効率的に生産するためにどうしたらよいか」、「チーム内のコミュニケーションを円滑にするにはどうしたらよいか」、「部下を短期間で一人前にするにはどうのように育成したらよいか」、「残業時間を30分/日短縮するにはどうしたらよいか」を解決するために、「なぜ効率的に生産できないのか?」、「なぜコミュニケーションが円滑にならないのか?」、「なぜ部下をうまく育成できないのか?」、「なぜ毎日残業が発生するのか?」という疑問を持つことによって、問題解決に進んでいくわけです。

 

「なぜなぜ思考」によって、「問題解決脳」を鍛えて頂きたいと思います。

 

2. 5W1H思考

5W1Hはほとんどの人が学校で学び、何となくでも覚えているのではないでしょうか。

5W1Hは、

いつ(When)、どこで(Where)、誰が(Who)、何を(What)、なぜ(Why)、どのように(How)

ですね。

 

この5W1Hがなぜ重要か。私なりの理由を以下に記します。

①   社会人が抜け漏れのない仕事、ホウレンソウなどを行うため

②   会話のキャッチボールができるようになるため

 

私は社会人になった時、自分の思考力の低さを痛感し、なぜなぜ思考で疑問を持つと同時に、人が話すことに対して、「そうですね」で終わらせず、「5W1Hで最低1つ質問を投げかけよう」と決めました。これを繰り返していくと、人との会話が長続きすること、常に頭を回転させられることが分かりました。知り合いからは今でも、「お前は質問魔だ」と呼ばれることがあるくらいです。

 

更に仕事をしていくうちに、「5W1H」で「ホウレンソウ」を行うと抜け漏れが生じにくい、「5W1H」で営業のヒアリングを行うと、抜け漏れのないヒアリングができることなどが、経験値として積みあがっていきました。私は営業畑出身ですが、お客さまとの雑談でも、「5W1H」が威力を発揮し、会話のキャッチボールがスムーズに進み、お客さまと仲良くなることにも通じることが分かりました。

 

先に「ホウレンソウ」について書きましたが、上司に報告した時に、「5W1H」のどれかで質問を受けるようでは、「抜け漏れのある安定しない社会人」と言われても仕方ないでしょう。商談のヒアリングで「5W1H」で抜け漏れがあれば、お客さまに再度ヒアリングし直しというムダな時間を費やすことにもつながりますね。

 

つまり、「5W1H思考」は、「抜け漏れのない仕事、抜け漏れのない社会人」、つまり、「確実な仕事、確実な社会人」、「安定感のある仕事、安定感のある社会人」をつくることになりますので、周囲からの「信頼」にも直結することを、肝に銘じたほうがよいと思います。

 

私は若いころ、仕事を3カ月離れて、英語学校に通ったことがありました。この学校で、「質問を投げかける」という授業がありました。クラスメイトの一人が一文を言い、残りの人が質問を投げかけるというものでしたが、外国人の先生は「日本人はなぜ質問が出ないのか?!」とよく言っていたのを、未だによく覚えています。これは、日本人が「5W1H」で考える習慣が少なく、質問を投げかけることが少ない人種であるということだと思います。

 

「私はフルマラソンを走りました」

「いつ走ったのですか」、「どこで走ったのですか」、「タイムはどのくらいだったのですか」、「なぜフルマラソンなんかを走ろうと思ったのですか」、「どのくらい練習したのですか」、など。

 

最後になりますが、思考力を鍛えるのにどうしたらよいかと思っている方は、「なぜなぜ思考」と「5W1H思考」に絞って、継続的に訓練して頂きたいと、繰り返し強調したいと思います。(執筆:現場経営の達人)