【第9回】人材育成における大切なポイント(1)

2026-09-01 13:49:03 経営コラム

前回は人材育成の4つの手法について説明しましたが、今回から2回にわたり、人材育成(特にOJT)における大切なポイントについて説明いたします。私が初めて部下を持ったのが30歳の時で、それから約30年間、多くの部下の育成に努めてきました。その経験から、私なりにまとめてきた人材育成のポイントをお伝えいたします。


【人材育成における大切なポイント】

1. 部下に対する「関心」と「愛情」

2. 部下を「知る」

3. 人材育成の肝は「PDCA」

4. 部下の成長は「振り返り」の数に比例する

5. 「教育ツール」を用意する

6. 社会人としての「判断軸」を教える

7. 指導者が「教え方」を身につける

8. 人材育成の「風土」を醸成する

 

1. 部下に対する「関心」と「愛情」

 

人材育成の出発点は、部下に対して、「関心」と「愛情」を持つことです。このマインドが根底にないと、人材育成は上手くいきません。上司と部下はたまたま巡り合っただけかもしれませんが、「関心」と「愛情」のない育成が、部下の社会人人生を台無しにしてしまう可能性すらあるのです。また、「愛情」の反対語は、「無関心」です(「憎悪」ではありません)。部下に対する「無関心」が、彼らのモチベーションを低下させ、退職を助長することにもつながります。「関心」と「愛情」を持って、真摯に部下と向き合い、部下を幸せに導いてあげるのが、上司の責任なのです。

 

2. 部下を「知る」

 

部下を育成していくためには、部下のことを知る必要があります。部下の隅から隅まで知る必要はないのですが、大切なポイントは把握しておかなければいけません。そのポイントは、「強み」・「弱み」・「性格・タイプ」の3つです。例えば、「地頭が良く思考力は高いが、コミュニケーションが苦手」である部下について、苦手なコミュニケーションがある程度できるように教育しつつ、得意な思考力を活かせる仕事を担当させる。また、「気持ちが優しく、おとなしい性格」の部下には、厳しく育てるよりも、たくさん褒めて育てようなど、部下各々に応じた育て方をしていくのです。私は管理職の部下に、自分の部下全員の「強み」・「弱み」・「性格・タイプ」と「育成方針」を、「部下把握シート」という名の表に埋めさせていました。また、部下の履歴書を読んで、部下の情報を頭に入れておくと、部下とのコミュニケーションにも役立ちます。私は、出身地と出身高校・出身大学を重視していました。人は「同郷」と「同窓」に対して格別の感情を抱きますので、覚えておくと何かと役に立ちます。


3. 人材育成の肝は「PDCA」

 

私が人材育成で最も重視しているのは、「PDCA」です。「指導」と「育成」の違いは何か。「指導」はその場で教えることであるのに対して、「育成」は「長い時間」をかけて、「計画的」に育てていくことです。ですので、人材育成に「PDCA」は不可欠なのです。では、どのように人材育成の「PDCA」を進めていくのか。

①   いつまでに、「どのような能力・スキルを身につけるか」、「どのような姿になっていたいのか」という「ゴール」を設定する

②   「ゴール」から「逆算」して、「計画」を立て、「継続」して育成を進める

 

つまり、人材育成には、「(ゴールからの)逆算」、「計画」、「継続」の3つが重要であるということです。ゴールは設定した、計画も立てた、でも、なかなか継続できないというケースは非常に多いです。部下を育てることは、上司の「仕事」であり、「義務」ですので、「関心」と「愛情」を持ち、継続するぞという「強い心」を持って、部下育成に臨んでもらいたいと思います。

 

4. 部下の成長は「振り返り」の数に比例する

 

「部下の成長は振り返りの数に比例する」とは、私がつくった造語です。これは、「(できの良くなかった)部下に対して毎日3分間振り返りをするように」と、その上司に指示した結果、3カ月後には部下が見違えるように成長したという経験から出た言葉です。「振り返り」とは、PDCAの「C」に当たりますが、やはり、PDの繰り返しではなく、きちんと「C」をして、次につなげていくことが、成長への最短距離ではないかと考えています。同じ30分間の振り返りでも、30分間×1回よりも、1分/回×30回のほうが、間違いなく成長が早いです。会社の人事制度に則って義務的に、毎月30分振り返りを行うよりも、誰に強制されるわけでもなく、部下のことを思って、毎日振り返りを行うのでは、天と地の違いがあります(執筆:現場経営の達人)