「ホウレンソウ」は言わずと知れた「報告・連絡・相談」のことです。この「ホウレンソウ」は、新入社員研修で必ずと言っていいほど学び、日頃の仕事でも日常茶飯事のように使われています。しかしながら、「ホウレンソウは大切です」と繰り返し言われているものの、「具体的なホウレンソウの仕方を教えてもらったことがある」という人は、案外少ないのではないでしょうか。日常の仕事で問題やトラブルは、「ホウレンソウ」不足に起因していることが多いにも拘らず、具体的なホウレンソウの指導がなされていないのは、大きな問題だと考えています。そこで私は、「ホウレンソウの仕方」をペーパーに落とし込み、具体的なホウレンソウの仕方を部下に指導していました。これでも「ホウレンソウ」漏れは度々起こっていたのが実態ですので、「ホウレンソウ」は簡単なようで難しいものです。
また「ホウレンソウ」は、社会人のコミュニケーションの多くを占め、社会人のコミュニケーション能力を端的に表すものであるとも言えます。つまり、「ホウレンソウ」が上手くできるかどうかは、社会人能力の評価にも大きな影響を及ぼすということです。特に管理職は、ホウレンソウが上手くできないと、本人の能力評価が「×」になってしまう可能性すらあります。
以上のことから、仕事で問題やトラブルを起こさないためにも、日頃の仕事をスムーズに進めるためにも、また、上司や周囲とのコミュニケーションを円滑に行うためにも、更に、上司や周囲から評価されるようになるためにも、若いうちに「ホウレンソウ」のポイントを押さえて、「ホウレンソウの達人」になるレベルを目指して欲しいと思います。それほど「ホウレンソウ」は社会人にとって重要なことなのです。以下に、私がペーパーに落とし込んでいた「ホウレンソウ」のポイントを説明いたします。
1. 悪い情報ほど、真っ先に報告する ~リスクマネジメントにおける「初動」の重要性
ホウレンソウで最も重要なのは、悪い情報ほど早く報告することです。悪いことは言いたくない、できれば自分だけで解決して穏便に済ませたいという心情は理解できるのですが、問題やトラブルは初動の迅速さが最も重要で、素早く処理しないと、問題がどんどん大きくなるばかりです。問題は個人の問題ではなく、組織の問題ですので、組織で素早く解決できるように、すぐに報告しなければいけません。
2. サプライズは起こさない
「サプライズ」とは「驚き」という意味ですが、部下には「サプライズは起こすなよ」とよく言っていました。この「サプライズ」とは、全く予期しないことが突然報告される、報告が遅くなってしまうなどによって、受ける側がビックリしてしまうことです。「サプライズ」を防ぐためには、悪いことはすぐに報告する、悪い事態が発生する可能性があると分かった段階で、「このような可能性があります」と伝えておくことです。
3. 自分で抱えすぎないで、早く報告・相談する ~自分だけで抱え込む傾向あり
若い人は自分だけで頑張ろうという傾向がありますが、限られた時間の中で仕事を進める必要があるため、分からないことは早めに報告・相談してください。私は部下に、「10分考えても分からないことは一生分からないから、とっとと相談に来なさい」と言っていたほどです。
4. 上司の関わったお客さま、案件については、「あれどうなった?」と聞かれる前に報告する
部下と同行訪問したお客さま、作成を支援した部下の提案書など、上司は自分が直接関わったお客さまや案件はずっと気にかけています。そのようなお客さまや案件については、結果がでたらすぐに、結果が出るまでに時間がかかる場合は途中経過でも、上司の耳に入れておくことです。
5. 報告する時は、結論が先、理由は後
自分が言いたいことを相手に分かってもらうには、結論を先に伝えることです。私はこれを、「結論First」と言っていました。前置きが長くなって、「結局、何が言いたいの?」、「何が言いたいのかが分からない」と言われないようにしてください。この「結論First」は「ホウレンソウ」に限らず、プレゼンテーションなどの様々な場面で、いかんなく威力を発揮しますので、是非身につけください。
6. お客さまから得た情報、資料を見せて報告する ~断片的な情報では、判断を誤る恐れあり
お客さまから相談を受けた案件を報告する際などは、お客さまからもらった情報や資料は必ず、上司に見せてください。お客さまの意図と違うことが報告され、上司の判断が誤るようなことがあってはいけません。お客さまの資料を確認したほうが、間違いが起こりにくくなります。
7. 納期のある仕事は途中経過を報告する
納期が数日あるような仕事を受けた時は、途中経過を報告するようにしてください。私は「●日の▲時に中間報告するように」と部下に伝えていましたが、そのような上司は少ないので、上司から言われなくても、自ら率先して中間報告したほうがよいです。上司は部下から報告や相談がないと、順調に進んでいるものと思ってしまいます。それが、締め切り前日か当日になって、「間に合いそうもありません」という報告があると、それこそ「サプライズ」です。チーム全体に大きな支障をきたさないためにも、わが身を守るためにも、途中経過を報告するクセをつけてください。
8. ホウレンソウは、要点を押さえて、簡潔明瞭に行う
~「5W1H」を押さえて漏れなく「When(いつ)、Where(どこで)、Who(誰が)、What(何を)、Why(なぜ)、How(どのように)」
「要点を押さえて、簡潔明瞭に」とは「5W1H」でポイントを押えて漏れなく、個人の思いや考えを入れず、「事実」だけを伝えるのです。特にクレームやトラブルが起こった際の「ホウレンソウ」では、「事実」と「思い・考え」を明確に区別することは、非常に大切になりますので、頭に叩き込んでおいてください。
9.「どうしましょうか」ではなく、「自分はこう思いますが、どうでしょうか」と相談する
~自分の頭で考え、自分の考えを持つ
私は「相談する時は自分の考えを持ってこい」とも、よく言っていました。部下からの相談を 一通り聴いた後、「で、あなたの考えは?」という質問を投げ返ることもありました。「分からない から相談に来ているんでしょ!」というのが部下の言い分かもしれませんが、ただ相談している のであれば、いつまでも問題解決能力は養えません。自分で考え、自分で解決することを若いうちから訓練することで、自分が上司の立場になった時に問題解決できるようになるのです。トラブルの相談に行った時に、上司が何もしてくれない、上司が逃げてしまうという場面に直面し、上司に失望してしまった経験がある人もいるかもしれません。自分が上司になった時に、 同じ過ちを繰り返さないためにも、自分の意見や考えを持って相談するようにしてください。
10. 良い話は嬉しそうに報告する ~ホウレンソウは良くないことに対して行うものと思われがち
「ホウレンソウ」というと兎角、良くないことに対して行うものというイメージがありますが、上司 としては、良い報告もたくさん聞きたいものです。部下が「●●から受注しました!」と、ニコニコ しながら報告にきたら、一緒になって喜びたいと思うのが上司です。ですので、良い話はドンド ン報告しましょう。(執筆:現場経営の達人)